タピールレーダーオイルとステインリムーバーのどちらを使用すべきか?
靴磨きの最初の工程として大変重要なのが、ブラッシング後のクリーム落としかと思います。
最近だと、私はタピールのレーダーオイルを使用する事が多いです。
タピールレーダーオイルに含まれる成分はひまし油、なたね油、オレンジテレピンオイル、酢です。
タピールJapanのホームページを引用させて頂くと、それぞれ含有されている成分には、下記の理由があるようです。
ひまし油:深く浸透する(多分保革)
なたね油:深く浸透する(多分保革)
オレンジテレピンオイル:溶剤。ワックスも溶かせる。
酢: ワインビネガーを使ってるらしい。除菌効果
https://tapir.jp/
ひまし油は保湿に優れており、美容においてもひまし油石鹸として使用されているようです。
タピールレーダーオイルは、他のクリーナー同様に有機層と水層の2層に分離しています。(分かりづらいですが…)
溶剤であるテレピンは比重が水より軽いため、上層が有機層(ひまし油、なたね油、オレンジテレピンオイル)、下層が酢と考えられます。(多分)
タピールレーダーオイルと言えばタップタプの油分です。一方で、酢が入っています。一般的に酢は3ー5%の酢酸が水に溶けたものであるため、水分もちゃんと含まれています。上層と下層の比率を見てみると、全体の10〜15%が水分という感じでしょうか。
タピールレーダーオイルが有する効果としては、 ①汚れ落とし 、 ②保革の2点です。そのため、タピールレーダーオイルとステインリムーバーのどちらを使用すべきかの判断も上記2点を踏まえてとなる事でしょう。
結論としては普段使いはステインリムーバー、乾燥してきた靴や、新品で購入した靴はタピールレーダーオイルが良いと思いますが、①、②に則して考察していきます。
①汚れを落とす力
クロケットジョーンズのオードリー3を用い、右足をレーダーオイル、左足をステインリムーバーで古いクリームを落としてみます。
どちらも布に付けてみて、靴全体を拭くという行為を1回行ってみました。
タピールレーダーオイル
ステインリムーバー
あまり変わらないです。心なしかタピールレーダーオイルの方が少し良く落ちている気がします。タピールレーダーオイルはワックスもある程度溶かす事が出来るため、ワックスが付いた分、色が濃くなったと考えられます。
タピールレーダーオイルを使用した右足
ステインリムーバーを使用した左足
写真では分かりづらいですが、タピールレーダーオイルは油分が入ったことからマットな質感で、控えめな光沢です。
ステインリムーバーを使用した左足についても、クリームが落ちたことにより光沢は控えめですが、スッピンとなった事により、革本来が持つ光沢を放っています。
トゥ部分については、タピールレーダーオイルはワックスを少し溶かし、ステインリムーバーは溶かしていない事がわかります。
タピールレーダーオイル
ステインリムーバー
タピールレーダーオイルは付け過ぎに注意する必要があり、片足で精精2周くらいに留めるべきですが、それだけではワックスは落ちきりません。これ以上つけ過ぎるとベトついて危険と考えると、しっかりとワックスを落としたいのであれば、ハイシャインクリーナーを使うべきと思います。
そのため、クリームを落とす力としてはあまり変わらないと考えられ、使い分けの判断材料にはならないと思います。
*追記: タピールレーダーオイルに含まれるテレピンオイルは革に浸透しないことから、表面の汚れやクリームを落とすに過ぎず、皮革内に入ったクリームを落としたいならば、リムーバーを使用した方が良いようです。
②保革
やはりこちらがタピールレーダーオイルを使用するメリットです。
以前バリーのスクリーブの記事を綴った際にも書きましたが、乾燥している革靴に使うとモッチモチになるため、非常に重宝しています。
靴の汚れを落とした後にデリケートクリーム、あるいは乳化性クリームを塗りますが、レーダーオイルに関しては、塗った直後では豊富な油分から、革靴にクリームが入っていかないため、塗布後5〜6時間以上時間を空ける必要があります。
さらに、前述した豊富な油分によって、塗りすぎると革靴がベタベタになる点にも注意が必要です。
総合すると
タピールレーダーオイルを使うか、ステインリムーバーを使うかは、普段使いはステインリムーバー、乾燥してきたと感じた時はタピールレーダーオイルが良さそうです。
保革という点については、ステインリムーバーを使用した場合も、乳化性クリームで充分保革が期待できます。
レーダーオイルについては、使用後5〜6時間は空けないと乳化性クリームがちゃんと入らないと考えられることから、時間を置くのが面倒だという人にはオススメできません。
一方で、下記2つに該当する場合はレーダーオイルの使用をオススメします。
①革靴が乾燥し出したなと感じ始めたタイミングではステインリムーバーを使用してみることをオススメします。劇的に改善します。
②革靴のプレメンテを行う際もレーダーオイルが良さそうです。新品の靴ってどれくらいの頻度で手入れをされているか分からないため、乾燥している可能性が高いと思います。また、新品の靴は革が硬いため、革を柔らかくする意味でも良いと思います。
タピールレーダーオイルを購入してから、得られるモチモチ感によって、革靴を磨くのが益々楽しくなったと思います。私が重宝している理由はそこが大きいです。
革靴を育てていきたい!という人は是非持っておく事をお勧めします。
【FLORSHEIM IMPERIAL Kenmoir】素晴らしきビンテージシューズ
デニムしかりtシャツしかり、世の中には様々なビンテージ品があります。
当然革靴にもビンテージ品があるわけです。
ビンテージ靴を選ぶ理由としては、歴史ある靴を履く点で男心をくすぐることもさながら、やはりその革質の良さかと思います。
最近では動物愛護の観点から動物実験も余計な殺傷が行われないように、企業も数を絞って行っているかと思いますが、同じことが革製品にも言え、良い革質の革は年々高騰しているようです。
その辺りが緩かった過去の革靴の場合、同価格の現行品と比較すると、革質が圧倒的に良かったようです。
私が有しているビンテージシューズはFlorsheim Imperial Kenmoirです。
フローシャイムの面白い点は、年代判別が出来る点かと思います。
kutsu402647i.hatenablog.com
私が有しているフローシャイム ケンムーアは1963年製と推測されます。(希望的推測ありで1973年製の可能性あり)
幸運にも高円寺の古着屋に立ち寄った際に、バイヤーさんがアメリカから帰った間際で、店頭に並べる前のものを引っ張り出してもらい、かなり綺麗な状態の物をたまたま購入することが出来ました。(2万円でした)
製造されてから50年を越えるとは思えない程の綺麗さです。
そしてモッチモチの革質が最高です。ホント。
革質だけに留まらず、昔の靴って素晴らしいなと思うのが作りの細かさです。
よくよく見ると、ケンムーアは、すべての縫い目が2重に縫われていることが分かります。
同じフルブローグ外羽根のエドワードグリーンのS ANDRINGHAMと比べるとその違いが良くわかります。(この靴も私にとっては最高の靴ですが笑)
そしてこの縫い目の細かさです。そこまで頑張らなくて良いのにというくらい細かいです。
この革質でこのディテールは今新品で買ったらいくらするんだってくらいのクオリティです。
私はビンテージシューズとしてフローシャイムしか有していませんが、チャーチについてもインソールに記載されている都市の数が現行品の4都市よりも少ない物がビンテージ品として革質が良いとされ、都市数が少ないほど古く、革質も良いようです。
現行のチャーチと旧チャーチを、革質や作りの細かさについて、比較してみても非常に面白そうです。
旧チャーチについては、一時かなり探しましたが、状態の良い物が見つからず…(皆様一体どうやって発掘されているのですか〜!!)
ブログを書きながら情熱が復活してきたため、ネットサーフィンを強化したいと思います。
【カルミーナ: 1年の経年変化】CARMINA LLROET ジョレットの素晴らしいエイジング!
カルミーナのジョレットラストを購入してから1年が経ちましたので、経年変化を見たいと思います。
購入時(玄関が汚い…)
半年(この時にtrimphのトゥスチールを着けました)
1年
エイジングに適したフランスはアノネイ社のベガノレザーを使用したアッパーには、とてもしなやかな皺が入っており、綺麗な経年変化をしていっています!
拡大してみると、とてもきめ細かく、穏やかな皺が入っております。
ドイツのレンデンバッハ社製のレザーソールは少し削れてきていますが、まだまだオールソールは必要なさそうです。流石は摩耗に強いレンデンバッハ!
そしてレンデンバッハといえば、ソールのしっとり感から来る履き心地です。アッパーも含めて足に馴染んできたこともあり、至上の履き心地となっています。凄いぞ!レンデンバッハ!ありがとう!レンデンバッハ!
シューキーパーを取ってみました。まだまだ形は綺麗に保たれています。
インソールもまだまだ綺麗です。
私の足は特にカカトが小さく甲も低めで細長い形をしているのですが、カルミーナの靴は非常にフィットすることを実感しており、とても履きやすいです。
順調な経年変化にカルミーナに感謝感謝です!
購入直後〜3ヶ月はこちら
【バリー: 2年の経年変化】BALLY スクリーブとタピールレーダーオイルの実力
バリーのスクリーブを購入してから2年が経過したため、経年変化を見ていきたいと思います。
エイジングによって、かなり深い皺が刻まれています。
深い皺が刻まれている要因として、はじめての本格革靴だったため、購入当時は革靴のケアに関する知識もそこまでなく、何度か大雨に見舞われたことがあります。
履き下ろした四国出張で大雨に見舞われた不運が懐かしい…
なんせ購入後1ヶ月半でこのような皺が出来てしまったくらいなので…
しかしこの時から比べても、かなり色が落ちたものです。
ソールはTriumphのトゥスチール+ハーフラバーソールで補強しています。
こちらのバリー スクリーブの場合、ハーブラバーソールを貼ってから、爪先部分が削れてきたので、後付けでトゥスチールを付けました。
結局のところ、削れるのはハーフラバーにしてもそのままでも爪先であるため、先にトゥスチールを付けていれば、わざわざレザーソールを削ってまでハーフラバーを付ける必要は無かったと思います。
こちらのバリーは購入してから1年後、なんとなく乾燥してるなーと感じていました。当時の写真を見ても、少し乾燥が分かると思います。
そこで、クリーナーをステインリムーバーから、下記のタピールレーダーオイルに変えました。
タピールレーダーオイルは、ドイツの学生達が試行錯誤の上で、天然素材のみを用いて産み出した汚れ落としです。
布に軽くタピールレーダーオイルをつけ、クリーナーとして1〜2回、靴をサッと拭きます。タピールレーダーオイルの付け過ぎは本当に注意です‼︎
そこから5時間〜24時間程度起き、クリーナー以降の通常のお手入れを行います。
タピールレーダーオイルを使用してからは、見事に艶が蘇りました!本当にビックリです!
側面から見ると、本当もうツヤッツヤかつモッチモチです!
特に、エイジングによって少し色落ちしたこの角度が、最高のアジを出しています!!いとをかしです。
この角度から見た色落ちも最高です。
バリーのスクリーブの素晴らしい経年変化を見て、やはり良い革を使った革靴だなと思いましたが、タピールレーダーオイルに変えてからの劇的なモチモチ感復活も素晴らしいです。
皆様も革靴の乾燥を感じ始めたら、是非使ってみて下さい!
ただし、繰り返しになりますが、ベトベトになってしまうため、使い過ぎには注意です。
購入3ヶ月後~1年はこちら
kutsu402647i.hatenablog.com
【シューケアボックス】タイムボイジャー: 気分を上げる道具箱
靴磨きがちょっとした趣味の私にとっては、折角ならシューケアの道具も少しオシャレな道具箱に入れたいと考えたりします。
という事で、シューケア道具を収納している道具箱をご紹介したいと思います。
使っているのはこちらです。
タイムボイジャー Lサイズ
timevoyager.ocnk.net
バルカナイズド・ファイバーという、紙を特殊な製法で加工した素材をベースに作られています。
紙とは思えないぐらいに堅牢な作りがなされています。
なおかつ、紙で出来ているため、箱自体は非常に軽いです。
正面から撮ってみました。
上から
箱を開けてみます。
中の箱を展開してみます。
側面から
3段階の階層があり、靴のクリームやブラシなどが収納可能です。
また、階層構造の横部分には、背の高いスプレーやステインリムーバーを入れることが出来ます。
サフィールのスエード用スプレーもこのように収納可能です。
中身を全て出してみました。
中々の大容量を収納できています。(しっかり整頓すれば恐らくもっと入る)
ただし、階層構造横の背の高い物が入れられるスペースについては、そこまで背の高いシューケアグッズを有していないため、少しデッドスペースがある気がします。
その点で、靴のクリームやブラシを専用に入れたいという場合は、トレーディングポスト別注の下記モデルの方が良さそうです。
www.tradingpost-online.jp
スプレーも含めて収納したいという方は、通常品をお勧めします。
以上、少しこだわりのシューケアボックスでした。
革靴を側面から眺めてみる
良い革靴は長年使用できることから、良い革靴の魅力は、年を経るごとに刻まれた皺や色落ちなどの経年的な変化だと思います。
私も長年使用することで出てくる変化が好きで、革製品全般を必死に育てているわけです。
一方で、革靴は当然ファッションの一部であることから、靴の形も好き嫌いに大きく寄与することでしょう。
そのため、人は視覚情報として、革の経年変化とその靴のフォルムを各々の美的センスに照らし合わせて、靴の好き嫌いを決めることとなります。
フォルムという点について、個人的にはオックスフォードシューズを横から見た形状が物凄く好きです。特にこの5足を非常に気に入っています。
左から拡大してご紹介します。
カルミーナ ジョレット
外羽根のハーフブローグです。初めて革靴を横から見た際の美しさに気付いた一足です。細長なシャープな形であり、外羽根部分辛いトゥにかけて、ウネッとなっているフォルムが好きです。
ジョンロブ パンプスデット
外羽根で、トゥにブローグが入っています。こちらも細長いシャープな形状が何ともクラシカルでカッコいいです。
クロケットアンドジョーンズ オードリー3
内羽根ストレートチップの王道だけに、横顔もザ・フォーマルです。
バリー スクリーブ
内羽根のクオーターブローグです。フォーマルさにブローグが程よくエレガントさを与えている点がgoodです。
エドワードグリーン サンドリンガム
外羽根のフルブローグです。同じ外羽根で比べると、カルミーナのジョレットと比べると少し甲が高めであり、なおかつフルブローグが与えるエレガントさが相まって何とも言えない厳つさを醸し出している点が好きです。
そして横顔という点では、以前ご紹介したオールデンの54321が物凄くカッコいいです。アルゴンキンと呼ばれるvチップの平べったくてなんとも言えないウネッとした感じがたまらないです。
以上、靴の横顔のご紹介でした。
【14足】保有している革靴一覧
靴棚を整理している際に、有している革靴を全て出してみました。
これを機に有している革靴を一斉に紹介してみたいと思います。
私は13足の靴を所有しています。(ビルケン のボストン入れたら14足?革の靴(サンダル)と考えてカウントしちゃいます)
手前の右から、紹介していきます。
①ビルケンシュトック ボストン
少しの外出に大変重宝する一足です。
kutsu402647i.hatenablog.com
②BOEMOSのスエードチャッカブーツ
こちらは紹介していませんでした。
2017年12月頃にユナイテッドアローズで購入しました。
主に冬の雨の日にプライベートで履いています。
③パラブーツ Avignon
雨の日に大活躍です!
kutsu402647i.hatenablog.com
④コールハーン タッセルローファー
こちらも本ブログでは紹介していません。
2017年8月頃にBEAMSで購入した物です。主に夏の雨天で履きます。コールハーンはアメリカの老舗の割にはセールでかなり値下げがされるので、狙い目です。こちらも半額で購入しました。
⑤オールデン 563 タッセルローファー
左右差が少しありますが、夏に大活躍する一足です。シンガポールで購入しました。実はシンガポールでは、日本と比較してオールデンが2割近く安いです。日本人の方が運営しているオールデンをたくさん置いているお店があるので、シンガポールへの旅行時は必見です。
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⑥バリー スクリーブ
初めて購入した本格革靴です。購入してから2年が経過致しました!靴磨きに凝るキッカケとなった一足です。
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⑦リーガル 315R ダークブラウン
こちらも本ブログでは紹介していませんでした。
2017年秋頃に購入したもので、雨の日のビジネス時に大活躍しています。靴紐は、さのはたのくつひもに変えています。ビジネス用として、この手のミラーレザーは一つくらい持ってると便利です。
⑧フローシャイム インペリアル ケンムール
圧倒的に年寄りです!今年でなんと御歳57歳!ビンテージシューズだけあって、今作ったらいくらするんだってくらいに革質は最高峰です。高円寺の古着屋で購入しました。
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⑨カルミーナ ジョレット 外羽根 ハーフブローグ
横顔がカッコいいです!もうすぐ購入してから1年が経過します。
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*追記: こちらは靴棚整理のため、手放しました
⑩オールデン 1339
冬に大活躍します!いい感じのエイジングをしていっています。
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⑪エドワードグリーン サンドリンガム
肉厚のある革質で、美しいです!まだまだ成長途中です。意外と足に合います。
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⑫ジョンロブ パンプステッド
革靴の王様ジョンロブの一足です。シームレスヒールを採用した凝った造りです。ジョンロブの特徴として、やはりカカトが緩いです。
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⑬クロケットアンドジョーンズ オードリー3
バリー購入後に初めて自身で吟味して購入した英国紳士靴です。ここから革靴にのめり込みました。今年の9月で晴れて購入して2年が経過致します。
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⑭オールデン 990
通年で大活躍です。今後のエイジングが楽しみな一足です。シンガポールで購入。
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以上です。
10年後にどれだけ残っているか楽しみです(これ以上増えていませんように。)