靴好きサラリーマンの徒然草

革靴に魅せられた30代理系サラリーマンが、革靴を中心とした経年変化を記録する雑記です。

タピールレーダーオイルとステインリムーバーのどちらを使用すべきか?

靴磨きの最初の工程として大変重要なのが、ブラッシング後のクリーム落としかと思います。


最近だと、私はタピールのレーダーオイルを使用する事が多いです。
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タピールレーダーオイルに含まれる成分はひまし油、なたね油、オレンジテレピンオイル、酢です。
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タピールJapanのホームページを引用させて頂くと、それぞれ含有されている成分には、下記の理由があるようです。


ひまし油:深く浸透する(多分保革)
なたね油:深く浸透する(多分保革)
オレンジテレピンオイル:溶剤。ワックスも溶かせる。
酢: ワインビネガーを使ってるらしい。除菌効果
https://tapir.jp/


ひまし油は保湿に優れており、美容においてもひまし油石鹸として使用されているようです。


タピールレーダーオイルは、他のクリーナー同様に有機層と水層の2層に分離しています。(分かりづらいですが…)
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溶剤であるテレピンは比重が水より軽いため、上層が有機層(ひまし油、なたね油、オレンジテレピンオイル)、下層が酢と考えられます。(多分)


タピールレーダーオイルと言えばタップタプの油分です。一方で、酢が入っています。一般的に酢は3ー5%の酢酸が水に溶けたものであるため、水分もちゃんと含まれています。上層と下層の比率を見てみると、全体の10〜15%が水分という感じでしょうか。


タピールレーダーオイルが有する効果としては、 ①汚れ落とし保革の2点です。そのため、タピールレーダーオイルとステインリムーバーのどちらを使用すべきかの判断も上記2点を踏まえてとなる事でしょう。


結論としては普段使いはステインリムーバー、乾燥してきた靴や、新品で購入した靴はタピールレーダーオイルが良いと思いますが、①、②に則して考察していきます。


①汚れを落とす力
クロケットジョーンズのオードリー3を用い、右足をレーダーオイル、左足をステインリムーバーで古いクリームを落としてみます。
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どちらも布に付けてみて、靴全体を拭くという行為を1回行ってみました。


タピールレーダーオイル
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ステインリムーバー
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あまり変わらないです。心なしかタピールレーダーオイルの方が少し良く落ちている気がします。タピールレーダーオイルはワックスもある程度溶かす事が出来るため、ワックスが付いた分、色が濃くなったと考えられます。


タピールレーダーオイルを使用した右足
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ステインリムーバーを使用した左足
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写真では分かりづらいですが、タピールレーダーオイルは油分が入ったことからマットな質感で、控えめな光沢です。


ステインリムーバーを使用した左足についても、クリームが落ちたことにより光沢は控えめですが、スッピンとなった事により、革本来が持つ光沢を放っています。


トゥ部分については、タピールレーダーオイルはワックスを少し溶かし、ステインリムーバーは溶かしていない事がわかります。


タピールレーダーオイル
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ステインリムーバー
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タピールレーダーオイルは付け過ぎに注意する必要があり、片足で精精2周くらいに留めるべきですが、それだけではワックスは落ちきりません。これ以上つけ過ぎるとベトついて危険と考えると、しっかりとワックスを落としたいのであれば、ハイシャインクリーナーを使うべきと思います。


そのため、クリームを落とす力としてはあまり変わらないと考えられ、使い分けの判断材料にはならないと思います。


*追記: タピールレーダーオイルに含まれるテレピンオイルは革に浸透しないことから、表面の汚れやクリームを落とすに過ぎず、皮革内に入ったクリームを落としたいならば、リムーバーを使用した方が良いようです。


保革

やはりこちらがタピールレーダーオイルを使用するメリットです。


以前バリーのスクリーブの記事を綴った際にも書きましたが、乾燥している革靴に使うとモッチモチになるため、非常に重宝しています。


kutsu402647i.hatenablog.com


靴の汚れを落とした後にデリケートクリーム、あるいは乳化性クリームを塗りますが、レーダーオイルに関しては、塗った直後では豊富な油分から、革靴にクリームが入っていかないため、塗布後5〜6時間以上時間を空ける必要があります。


さらに、前述した豊富な油分によって、塗りすぎると革靴がベタベタになる点にも注意が必要です。


総合すると
タピールレーダーオイルを使うか、ステインリムーバーを使うかは、普段使いはステインリムーバー、乾燥してきたと感じた時はタピールレーダーオイルが良さそうです。


保革という点については、ステインリムーバーを使用した場合も、乳化性クリームで充分保革が期待できます。


レーダーオイルについては、使用後5〜6時間は空けないと乳化性クリームがちゃんと入らないと考えられることから、時間を置くのが面倒だという人にはオススメできません。

一方で、下記2つに該当する場合はレーダーオイルの使用をオススメします。


①革靴が乾燥し出したなと感じ始めたタイミングではステインリムーバーを使用してみることをオススメします。劇的に改善します。


②革靴のプレメンテを行う際もレーダーオイルが良さそうです。新品の靴ってどれくらいの頻度で手入れをされているか分からないため、乾燥している可能性が高いと思います。また、新品の靴は革が硬いため、革を柔らかくする意味でも良いと思います。


タピールレーダーオイルを購入してから、得られるモチモチ感によって、革靴を磨くのが益々楽しくなったと思います。私が重宝している理由はそこが大きいです。


革靴を育てていきたい!という人は是非持っておく事をお勧めします。